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洗濯機を上手に使う

現在世界で使用されている洗濯機の洗浄方式は、うずまき式、攪拌式、ドラム式の3方式に分類されます。

 

これまで日本で普及してきたうずまき式(噴流式)洗濯機は日本独特のもので、洗濯槽の底部にあるパルセーター(回転羽根)が反転回転してうずまき状の水流を作って洗浄する方式です。機械力が強いため、短時間で高い洗浄効果を発揮すること、構造が比較的単純なため分け洗いなどの応用展開がやりやすい、価格が安い、などの特徴があります。

 

二槽式でも全自動でも水量、洗剤を最も多く使用し、布傷みの大きいのが欠点でしたが、パルセーターを大きくする、回転に反転が加わるなどの改良が重ねられています。

 

アメリカの洗濯機の主流である攪拌式は、洗濯槽の中央部に取り付けた攪拌翼が垂直軸のまわりを往復運動して洗浄する、原理的にはうずまき式と同じ方式です。

 

大量に洗えることと、物理的な力がうずまき式よりもゆるやかなため、繊維の傷みや洗いムラが少ないという利点がありますが、構造が複雑で価格が高く、洗浄時間がやや長いなどの短所があり、日本では普及しませんでした。

 

ヨーロッパで主流になっているドラム式は、円筒形の洗濯槽の中に周囲に多数の穴をあけた回転ドラムを内蔵し、このドラムに洗濯物を入れて回転し、洗濯槽の下側に洗濯物が浸る程度洗濯液が入っていて、洗濯槽が回転するたびに洗濯物が液の中をくぐりぬけます。

ドラムの内壁には等間隔の突版があり、ドラムを回転させると洗濯物は突版に引っかかって持ち上がり、真上近くに達すると落下して液面にたたきつけられるように落下します。

この落下運動を繰り返して洗濯をするという、いわば叩き洗いを応用したものです。

 

日本では業務用として普及してきましたが、少量の洗濯液で多量の洗濯物が洗え、布の傷みが非常に少なく、洗濯・乾燥一体型で省スペースなどの長所をもつため、環境保全意識の高まりや高齢化世帯の増加などとともに一般家庭にも急速に普及し始めました。

1970年代には洗濯機の普及率は一家にほぼ1台となり、スイッチをセットすれば全工程を自動的に移行して洗濯を終了する全自動洗濯機が登場し、1980年代半ばから急激に生産台数が増加し、その20年後には全自動が全家庭の90%に達しました。

 

 

全自動洗濯機の普及とともに洗濯機に対するニーズが多様なものになり、その頃からマイコン制御が取り入れられるようになりました。

 

1990年代に入ると、科学がますます発達する一方で、環境問題が深刻化し、洗濯機の「省エネ」「節水」が進むとともに、女性の社会進出などにともなう家事の合理化意識の高まりは、洗濯に関しては、「時間をかけず」「まとめ洗い」への傾向が強まり、洗濯機メーカーは「大容量化」「多機能化」に向けて、激しい技術競争を繰り広げることになりました。

センサーやファジィ制御の導入により、人間の感覚に近づけた洗濯が行えるようなさまざまな新機能が登場しました。また、節水、省エネが金科玉条ですから、全自動、ドラム式に関わらずメーカーは使用水量、洗濯時間、消費電力で競うことになり、最低限の水で、できるだけ短時間で洗濯を完了させるようになっています。

「機械任せ」にはしないで、「わが家流」で!

洗濯用粉石けんの落ち込みの背景には、洗濯機が二槽式から全自動になったことも大きな要因です。

 

1950年代に普及が進んだ二槽式洗濯機は、基本構造として洗濯槽と脱水槽に分かれており、一般的には、洗い、脱水、すすぎ、脱水の手順で洗濯し、その度に洗濯物を移す作業が必要ですが、洗濯・すすぎと脱水を同時並行で行える、汚れ落ちを途中でチェックするなど機械任せではない自由な洗濯ができるため、石けんの使用や洗濯にこだわる人たちには最適な方式なのです。

しかしながら、必ずしも洗濯機メーカの謳い文句のように、「たくさんの洗濯物を」、「少ない水で」、「短時間で」、「静かに」、「優しく」洗えるわけではないようです。

 

機械任せにした場合、実際には、汚れ落ちが悪い、黒ずむ、黒カビができやすい、などの問題が発生しています。

石けんでの洗濯は泡が決めて!

特に石けんを使用する場合は、十分に溶けていなかったり、使用量が不足して洗濯中に泡が消えてしまうと、満足な仕上がりは期待できません。

 

省エネは大切なことですが、機械任せにして、汚れが十分に落ちなかったり、洗濯機が故障ばかり・・・では本末転倒です。

 

したがって、現在の洗濯機を使いこなすためには、それなりの工夫が必要です。

 

洗い、濯ぎ、脱水の時間を自由に設定できるようになっていますから、自分の使っている洗濯機の性能をよく知って、汚れ具合や洗濯物の量・水位などに合わせ使用量を変化させて使うことが大切です。

衣類や洗濯機を長持ちさせるためには「残り湯」を使う

温度が高まると汚れ自体が変化して溶けやすくなったり、膨張して取れやすくなったり、洗剤成分の働きも熱エネルギーによって活発になります。

 

アレニウスの定義によれば、大雑把に見て温度を10℃高めれば、化学反応(洗浄速度)は2倍前後に増大するといわれています。

 

洗剤は水に溶けなければ、洗浄効果を発揮せず、溶けなかった部分は無駄になるだけでなく、洗濯物や洗濯槽に残留して、黄ばみや臭い、黒かびの原因になり、かつ水環境に流れ込んで負荷を与えます。

        

 

日本では洗濯にお湯を使うことがなぜか反エコのように捉えられがちですが、お湯を使えば、洗剤の溶け残りがなくなり、衣類や洗濯機を長持ちさせることができることもよく考えるべきです。

 

幸いなことに、日本の洗濯機のほとんどに、お風呂の湯をポンプで自動的に吸水し、洗濯できる機能が付いていますから、残り湯を存分に活用することが大切です。

 

一昔前までは、どこの家庭でもお風呂の残り湯を捨ててしまうようなことは決してなく、洗濯や掃除に使うことが当たり前でした。

過炭酸ナトリウムで洗濯(カタンサン洗濯)を!

また、週に1~2回、過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)を使った洗濯をしますと、洗濯槽はいつもきれいな状態を保つことができます。

 

過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)を使った洗濯方法は下記をご参照ください。

「過炭酸ナトリウムで洗濯(カタンサン洗濯)を!」

洗濯槽のクリーニング

ドラム式は黒カビができにくいといわれますが、これは乾燥機能を良く使う場合で、洗濯後、数分~数十分乾燥機能を使えば、黒かびはほとんど発生しません。

 

しかし、黒かびの発生は皆無ではなく、やはり使用状況により洗濯槽クリーナーでの掃除が必要になります。


洗濯槽の洗浄剤としては、環境への負荷が小さく、洗浄効果の高い過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)が最も適しています。

 

酸素系漂白剤で槽洗浄する場合は、「槽洗浄コース」(無い場合は「毛布コース」)を利用してください。

 

使用量は約300gで必ず40~50℃の温水でご使用ください。 (洗濯機によってはドラムの中に漂白剤を入れてはいけないものもあるそうですので、取扱説明書をよく読んでください。)

ナチュクリじいさんの辛口コラム

協賛:暁石鹸株式会社

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