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金属石けん(石けんカス)

水中に溶け込んだ硬度成分であるカルシウム、マグネシウムなどの金属イオンと石けんが反応して生成されたものが金属石けん(石けんカス)です。
 
水には溶けない金属化合物で洗浄力はなく、これが多く生成するほど石けんの界面活性分は失われて洗浄力が低下します。
 
水道水の水質基準の硬度は、石けんの使いやすさの程度を数値で表したもので、日本の場合は「硬度300以下」であり、大部分が硬度30~60という日本では金属石けんが悪さをするようなことはありません。
 
石けんカスは、100%が微生物などにより水と二酸化炭素に分解されて自然に戻りますので、石けんは環境を汚すものではありません。
 
しかし、流される量が多すぎると微生物が増えすぎて河川や湖沼を汚すということも起こりうることですから、洗濯や掃除には石けんカスの生成を抑え、石けんの洗浄力を高める炭酸塩などのアルカリ剤を併用することが大切です。
 
洗濯では厄介者の金属石けんですが、工業用としては古くから様々な分野で重宝されてきました。
 
例えば古代エジプトの墳墓から発掘された戦車の車軸には、油脂と石灰から作った金属石けん様の物質が潤滑剤として使われていたそうです。
 
19世紀中頃からその利用が盛んになり、第2次大戦後から今日にかけて、プラスチック、顔料、セメント、鋳物、金属加工、潤滑油、医薬、化粧品などの工業分野で、潤滑剤、分散剤、撥水剤、離型剤、触媒、安定剤、殺菌剤などとして必要不可欠な存在となりました。
 
石けんが好まれる理由のひとつは、洗った後にさっぱりした感触が得られるからですが、
それは、水道水中に微量に溶けているカルシウムイオンやマグネシウムイオンが、皮膚に残留している石けん分子と結びついて、水に不溶性の金属石けんを生成するためです。
 
そして、皮膚に残った石けんカスは、皮膚常在菌のエサとなって数時間で分解されます。
 
合成洗剤を用いた場合はヌルヌルした感触が残りますが、その感触は、石けんの場合でも人工軟水風呂では合成洗剤と同じように残ります。
 
水の硬度が水生生物に対する毒性に大きな影響を与える物質として、陰イオン合成界面活性剤がよく取り上げられます。
 
すなわち、代表的な合成界面活性剤であるアルキル硫酸ナトリウム(AS)や直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)の毒性は硬度が高くなるほど増大することが明らかになっています。

全国公害研会誌「水生生物に対する界面活性剤および衣料洗剤の毒性評価」

https://tenbou.nies.go.jp/science/institute/region/journal/JELA_2003002_1995.pdf

ナチュクリじいさんの辛口コラム

運営会社:暁石鹸株式会社

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