石けんは最も古くて代表的な界面活性剤
石けんには、他の界面活性剤と大きく違う特性がいくつかあります。
この特性は、石けんが環境や人体に優しい理由でもあります。
石けんは界面活性剤としては特有の生き物にとって安全な性質を持っているため、家庭用品品質表示法では、界面活性剤を「石けん」と「石けんでないもの」に分け、「石けんでないもの」は合成界面活性剤と呼ばれます。
家庭で使う洗剤の中には2種類あります。
まず、人間の体を洗うためのもの。これは厚生労働省の管轄で、薬機法(旧:薬事法)という法律によって規制されます。
次に人間以外のもの、具体的には食器や衣類、住居などに使うもの。これは消費者庁の管轄で「家庭用品品質表示法」という法律によって表示方法が決められています。
JIS規格(日本工業規格)では「石けん」と表記します。
これは「鹸」が当用漢字には無いためです。
化学系の学会では「セッケン」もしくは「せっけん」と表記します。 特に「セッケン」は、界面活性剤として表記する際に使われます。
合成界面活性剤は主に石油原料を使って化学合成を繰り返し、高温・高圧などの複雑な工程を経て製造され、固形や粉、液体のものがあります。
また、石けんのように手作りすることは出来ません。
合成洗剤は使いやすく、洗浄効果が持続しやすいのですが、肌や食器などに残りやすく、また石けんに比べて構造が複雑なため、排水後分解されにくく、環境への悪影響が問題になっています。
界面活性剤は肌・髪・頭皮に付着し、どんなにすすいでも洗浄剤は数%残留するといわれます。
洗剤による手や肌の荒れは、乾燥と外部刺激から肌を守るために働いている皮膚の表面が、界面活性剤によって変化(バリア機能の低下もしくは破壊)するためです。
石けんはうすまればすぐに界面活性作用を失いますが、合成洗剤はうすめても界面活性作用を失わず、また手肌に残りやすいので、肌荒れの原因になりやすいのです。
肌の弱い方は、界面活性剤の種類や性質をよく吟味する必要があります。
石けんは動植物の油脂をアルカリで煮て科学的に反応させたものです。
アルカリの種類によって形状が変わり、アルカリ成分は成分表示で「石けん素地」と記載されます。
脂肪酸ナトリウムで作られるものは固形・粉状で、浴用石けんや洗濯石けんなどに使われます。
脂肪酸カリウムで作られるものは液体・ジェル状で、ハンドソープや液体石けんなどに使われます。
石けんの原料は、動植物の油脂です。
合成洗剤の誕生は、食糧事情の悪化によると言われていますが、石けんの原料は必ずしも食料と競合するものではありません。
食肉加工の結果生じる動物性油脂や米ぬかを原料に食用油などの製品を作った後の「廃棄物」が石けんの加工に利用されます。
ホテルやレストラン、学校給食、家庭から出る廃油も石けんになります。
水に溶けやすく、泡立ち抜群のココナッツ石けんは、自然に生育しているココヤシの実の胚乳が原料です。
学校や町内会など各地で廃油を使った手作り石けんのイベントに見られるように、原料も作り方もシンプルな石けんは家庭で簡単に作ることができます。
ナチュクリじいさんの辛口コラム
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