石けんの3つの特性
石けんには、他の界面活性剤と大きく違う特性がいくつかあります。
この特性は、石けんが環境や人体に優しい理由でもあります。
石けんの特性を知らずに使うと、うまく洗えませんが、特性を知って使えば、失敗しないし、石けんの肌への優しさ、洗浄力の素晴らしさを堪能することができます。
(1)石けんは水中の硬度成分(カルシウムイオンとマグネシウムイオン)に出会うと石けんカスになる
温泉で石けんを使って顔や体を洗おうとしたら、泡がなかなか立たなくて困った、という経験をしたことがありませんか。
温泉にはカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの金属イオン(ミネラル)が多いところがあって、そんな温泉では、石けんはカルシウム石けんやマグネシウム石けんという金属石けん(いわゆる石けんカス)になってしまい泡が立ちません。
お風呂で石けんを使った後、洗面器のお湯に白いカスのようなものが浮かんだり、白いものが付着しますが、垢だけではなく、むしろ多くは石けんカスなのです。
皮膚は弱い酸性なので、弱アルカリ性の石けんは石けんカスになりますが、洗った後のさっぱり感は石けんカスによるもので、脱脂力は適度に和らげられます。
合成洗剤がいつまでもヌルヌルしているのは長く皮膚に残っているからです。
石けんカスには、上記のような大切な役割を果たしていますが、たくさん残ると見た目や手ざわりが悪いなどの欠点があります。
しかし、日本の水道水のほとんどは金属イオン(硬度成分)の少ない軟水ですから、国内のふつうの水質の場所では、ほとんど問題はありません。
(2)石けんは酸に弱い
長野県の白馬八方温泉(pH 11.5)や埼玉県の時川温泉(pH 11.3)のようなアルカリの強い温泉はよく泡が立ちますが、玉川温泉(pH 1.2)や草津温泉(pH 2.0)のような酸の強い温泉では石けんでは泡は立ちません。
弱アルカリ性の石けんは酸に出会うと中和されて酸性石けん(これも石けんカス)になってしまいます。
食べ物の汚れは酸性のものが多いので、石けんで食器を洗う前に、炭酸塩やセスキ炭酸ソーダの水溶液のスプレー(アルカリスプレー)で前もって酸を中和しておくと、石けんの使用量を減らすことができます。
衣類についた皮脂汚れも、酸性です。
衣類の場合、食器の汚れほど濃い汚れではないので、よほどひどい場合以外は予洗いの必要はありませんが、石けん液のアルカリ性を保つために、炭酸塩(アルカリ剤)の配合された石けんを使いましょう。
炭酸塩を含まない無添加の石けんで洗濯をすると、石けんの洗浄力を十分に発揮させることができず、石けんカスが洗濯ものに残留して黄ばんだり臭くなったり、洗濯槽がカビやすくなります。
(3)石けんはうすまると洗う力を失う
石けんが働くためには、ある程度以上の濃度が必要で、その濃度を下回ると、汚れを捕まえる力を失います。
一般に洗剤は、主成分の界面活性剤が一定の濃度以上になると効果的な洗浄力を発揮しますが、この濃度のことを臨界ミセル濃度(CMC)といい、石けんの場合は泡の立つ濃度です。
泡が立たない、泡が消えてしまうのは、汚れに対して石けんが足りないからで、石けんは臨界ミセル濃度以下では洗浄力を発揮しません。
石けんの洗浄力を発揮させるには、「泡立てること」がもっとも大切
けんは、「泡立ち」にさえ気をつけていれば、洗濯でも台所でもお風呂でも失敗なく使うことができます。
石けんを上手に使うコツは、3つの特性をしっかりと理解して使うことです。
ナチュクリじいさんの辛口コラム
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